ハラスメントという言葉は、以前より広く知られるようになりました。
一方で、問題になるのは、誰が見ても明らかな行為だけではありません。
「みんな参加しているから」
「みんな使っているから」
「これくらい普通だから」
そんな言葉の中にも、相手の意思に反して何かを求める「自覚しにくいハラスメント」が潜んでいる場合があります。
令和8年3月10日の一般質問では、こうした視点から、ふじみ野市のハラスメント防止について取り上げました。
ハラスメントの根絶には「自覚」が重要
一般質問で私が最初に確認したのは、市としてのハラスメントに対する基本的な考え方です。
ハラスメントをなくすためには、明らかな問題行為を禁止するだけでは足りません。
むしろ、
「自分では問題ないと思っていた行為が、相手にとっては強要になっていないか」
と考えることが重要です。
私は、市自身がハラスメントを許さないという意思を明確にし、組織として規範となる姿勢を内外に示す必要があるのではないかと質問しました。
ふじみ野市には「ハラスメント防止指針」がある
市の答弁では、令和4年4月に、
「ふじみ野市ハラスメント防止指針 ~安心して働く職場環境のために~」
を策定していることが示されました。
この指針をもとに、ハラスメントの未然防止や、問題が生じた場合の対応、職員が注意すべきことなどについて、全職員で共通認識を持つ取組が行われています。
また、全職員を対象としたハラスメント防止研修を毎年実施するほか、新規採用職員や管理職への研修など、複数の機会を通じて意識づけを行っています。
さらに令和7年度からは、職員を守る観点からカスタマーハラスメントに特化した研修も始めています。
職場を離れても「上司と部下」の関係がなくなるとは限らない
今回、特に取り上げたのが職務外における強要・強制です。
勤務時間中であれば、職場のルールや指針を意識しやすいと思います。
しかし、職場の人との飲食や懇親会など、仕事ではないものの職場の人間関係が続いている場面では事情が異なります。
形式的には勤務時間外でも、上司と部下という関係性がそのまま残っていることがあります。
ふじみ野市のハラスメント防止指針でも、仕事以外の事柄の強要として、
宴会への参加や飲酒を強要すること、酒席で上司のそばに座るよう指定すること、お酌を強要することなどが例示されているとの答弁がありました。
「みんな使っているから」も強要になることがある
私はもう一つ、自覚しにくい例として連絡用のコミュニケーションツールを取り上げました。
現在はスマートフォンの連絡アプリが広く普及しています。
とても便利な一方で、何らかの理由から特定のサービスを利用したくない人もいます。
その人に対して、
「みんな使っているから」
「あなた一人のために別の連絡をするのは大変だから」
という理由で利用を強制することはどうなのか。
こうした場合、強要する側には「便利だから使ってほしい」という程度の認識しかなく、自分が相手に圧力をかけていることに気づいていないことがあります。
私は、こうした本人が自覚しにくいハラスメントこそ注意が必要ではないかと市の考えを確認しました。
市の業務連絡は自治体専用チャット、個人端末への導入は任意
市からは、職員間の業務連絡には自治体専用のLoGoチャットを使用しているとの説明がありました。
職場のパソコンで利用できるほか、自分のスマートフォンで利用したい職員は、本人の意思に基づいて任意でインストールする仕組みになっています。
また、民間のコミュニケーションツールや電子メールを利用する場合も、所属と職員双方の同意がある場合に利用しているとのことでした。
市としては、こうしたコミュニケーションツールの使用について、強制や強要によるハラスメントに該当する事案や相談は把握していないとの答弁でした。
この点については、本人の意思を尊重する運用が行われていることを確認できました。
相談先を一つだけにしない
ハラスメント対策では、問題が起きた後に相談できる場所があることも非常に重要です。
市では、毎年12月に全職員へ行う人事異動に伴う自己申告書の中で、職場内外のハラスメントについて自由に意見を記載できるようにしています。
必要があれば聞き取りや助言、指導を行います。
さらに、人事課や所属長への直接相談に加えて、各フロアにハラスメント相談員を選任しています。
人事評価の際の上司との面接なども含め、相談できる機会を複数設けています。
市は、
「どんな小さな芽であってもハラスメントは許さない」
という方針のもとで取り組んでいると答弁しました。
これは大切な考え方だと思います。
相談窓口が一つしかなければ、その相手との関係によっては相談できないことがあります。
複数の入口を用意することは、早い段階で問題を把握するためにも重要です。
「問題が起きてから」ではなく、小さな芽の段階で
ハラスメント対策では、大きな事件が起きた件数だけを見ても十分ではありません。
深刻になる前に相談できた。
相手に指摘されて行動を改めることができた。
そもそも研修によって強要する行為が起こらなかった。
こうした表面化しない予防効果も重要です。
今回、市役所内ではコミュニケーションツールの利用強制に関する事案や相談は把握していないとの答弁がありました。
私は、市役所という大きな組織の中でこうした相談がないことについて、市が繰り返しハラスメント防止の意識づけを行っていることの一つの表れとして受け止めました。
市として「規範となる姿勢」を示す
最後の再質問では、もう一度、市としての姿勢を確認しました。
私は、
ハラスメントの根絶には、市が強い意思を内外へ示すことが必要ではないか
と質問しました。
これに対して市は、ハラスメント防止に関する要綱や防止指針に基づき、職員研修や定期的な周知を繰り返し、職員の意識を徹底していくことが重要だと答えました。
そして、
「市として規範となる姿勢を念頭に置き、ハラスメントの根絶のために必要な取組を進めていく」
との考えが示されました。
今回の一般質問で確認できたこと
今回の一般質問では、ふじみ野市が令和4年にハラスメント防止指針を策定し、全職員を対象とした研修を毎年実施していること、令和7年度からカスタマーハラスメント研修も開始したことを確認しました。
また、職務外であっても宴会参加、飲酒、お酌などを強要すればハラスメントとなり得ること、職員のコミュニケーションツールについても本人の意思を尊重した運用としていることが示されました。
相談体制については、人事課や所属長だけではなく、各フロアのハラスメント相談員や自己申告書、人事評価面接など、複数の相談機会が設けられています。
そして最終的に、市から「規範となる姿勢」を念頭に、ハラスメント根絶に必要な取組を進めるとの答弁がありました。
ハラスメントをなくすために必要なのは「自分は大丈夫」と思わないこと
ハラスメントというと、極端な暴言や明らかな強制行為を思い浮かべるかもしれません。
しかし、本当に難しいのは、
善意や慣習のつもりで行っていることが、相手にとって断りにくい強要になっている場合です。
「昔からこうしてきた」
「みんな参加している」
「便利だから使えばいい」
そうした考えだけで相手の意思を決めつけないこと。
そして、立場が上の人ほど、
「相手は本当に自由に断れる状況なのか」
を考えることが重要だと思います。
制度や相談窓口を整えることに加え、一人ひとりがそうした意識を持つことが、ハラスメントを小さな芽の段階で防ぐことにつながります。
今後も、市が掲げた「規範となる姿勢」が職場の中でどのように維持され、必要に応じて取組が改善されていくのか確認していきます。
議会活動日:令和8年3月10日
令和8年第1回ふじみ野市議会定例会・一般質問
ふじみ野市議会議員
かねはま こうけん(金濵高顕)






