ふじみ野市には、妊娠・出産から子育て期まで、さまざまな支援制度があります。
ただ、制度は「ある」だけでは十分ではありません。
必要な人に情報が届いているか。
利用できる人が、実際に利用できているか。
子ども自身が参加したいと思ったとき、その機会が確保されているか。
令和8年度予算の審査では、こうした**「制度と実際の利用との間にある壁」**に注目して、いくつかの子育て支援事業を確認しました。
「はじめて子育てコンシェルジュ」は支援につながる入口
ふじみ野市の「はじめて子育てコンシェルジュ事業」は、2歳未満の子どもがいる家庭が、親子で地域の子育て支援センターを訪れた際、対象となる子ども1人につき5,000円を給付する事業です。
しかし、この事業の目的は5,000円を給付することだけではありません。
子育て支援センターへ足を運んでもらい、そこで面談を行い、必要があれば別の支援機関につなぐ。
つまり、子育て家庭と行政・地域の支援をつなぐ入口として設計されている制度です。
令和5年10月に始まり、令和8年3月の予算審査時点までに、約900人が利用していました。
当初1,300人を見込んだ予算が400人へ
一方、令和7年度の補正予算審査では、当初1,300人を見込んでいた予算が、実績を踏まえて400人分まで減額されていました。
そこで私は、単に利用者数が少なかったという数字だけでなく、なぜ利用が伸びていないのかを確認しました。
市によると、出生や転入の際、児童手当の申請窓口で対象家庭に直接案内しているものの、申請した人は把握している範囲で対象者の50%弱とのことでした。
この制度は、令和8年3月31日までに生まれた子どもを最後に終了する予定です。
そのため私は、まだ利用できる方がいるのであれば、制度が終わる前にきちんと利用してもらえるよう、最後まで情報を届けてほしいと求めました。
予算を用意していても、対象となる家庭が制度を知らなかったり、利用するきっかけがなかったりすれば、支援にはつながりません。
「対象者であること」と「実際に支援を受けられること」は別の問題です。
子育て情報を「置いておく」だけにしない
同じ視点から、こども家庭センターが令和8年度に作成する周知パンフレットについても確認しました。
このパンフレットは、妊娠・出産・子育て期を通じてどのような支援が受けられるのかを簡潔にまとめ、相談先や連絡先を分かりやすく伝えるものです。
そこで私は、
「窓口に置いておくだけなのか、それとも対象となる人に積極的に渡すのか」
を確認しました。
市からは、妊娠届の提出時にはほぼ全ての妊婦が窓口を訪れることから、その機会を重要な入口として、パンフレットを渡していきたいとの考えが示されました。
また、地域の子育て支援拠点を一覧にした既存の子育てパンフレットについても利用が多く、令和8年度は印刷部数を2,000部から3,000部へ増やす予定です。
配布場所についても、市は利用状況を見ながら、新たに置いてもらえる場所があれば広げていきたいとしています。
情報発信では、ホームページに掲載したりパンフレットを作ったりすることも必要です。
しかし、それ以上に重要なのは、必要になる可能性が高い人と接する機会を捉えて、こちらから情報を届けることだと考えています。
児童センターでは「こども運営委員会」がスタート
もう一つ確認したのが、児童センターで始まる新しい取組です。
令和8年度からの新しい指定管理期間では、子どもの意見を施設運営に生かすため、**「こども運営委員会」**が予定されています。
子どもたち自身が、
「児童センターをもっとこうしたい」
ということを話し合い、実際の取組につなげていくものです。
令和7年12月末時点で、東児童センターの利用者は4万2,624人、西児童センターは4万245人に上っており、多くの子どもたちが利用しています。
私は、この利用者数の多さを踏まえて、こども運営委員会への参加について確認しました。
心配したのは「人が集まらないこと」ではありません
市から最初に示されたのは、館内で参加者を募集し、集まりが少ない場合には職員から声をかけるという考えでした。
しかし、私が心配していたのはその逆でした。
参加したい子どもがたくさんいたとき、「やってみたいのに参加できなかった」という子が生まれないか。
子どもの意見を尊重するための事業であれば、できるだけ多くの子どもに「自分も関われる」と感じてもらうことが重要です。
この点について市からは、児童センターの職員が日頃の子どもとの関わりの中で、
「本当は参加したいけれど、できないのではないか」
という気持ちを酌み取り、積極的に働きかけることを期待しているとの答弁がありました。
具体的な参加方法や人数について、全てが決まったわけではありません。
だからこそ、実際に事業が始まった後、参加したい子どもに十分な機会が確保されているかを見ていく必要があります。
共通するのは「入口」の問題
子育てコンシェルジュと、児童センターのこども運営委員会。
一見すると全く違う事業ですが、今回確認したかったことには共通点があります。
それは、
制度や事業を用意しただけで終わらせないこと
です。
子育てコンシェルジュなら、
制度を知る
→ 子育て支援センターへ行く
→ 面談を受ける
→ 必要な支援につながる。
こども運営委員会なら、
事業を知る
→ 参加したいと思う
→ 実際に参加する
→ 自分の意見を施設運営に反映できる。
途中のどこかに壁があれば、制度が目指した効果まで届きません。
今回の予算審査で確認できたこと
今回の審査では、
- はじめて子育てコンシェルジュについて、利用率が50%弱にとどまっていること
- 制度終了前まで、対象となる家庭に利用してもらう必要があること
- こども家庭センターのパンフレットを妊娠届の機会に直接渡す考えであること
- 子育てパンフレットの印刷部数を増やし、配布先も状況に応じて広げる考えであること
- こども運営委員会では、職員が子どもの参加意欲を酌み取り、積極的に関わることが期待されていること
を確認しました。
大きな制度改正ではありません。
しかし、子育て支援では、こうした**「支援につながる最後の一歩」**がとても重要です。
「利用できる制度」になっているかを確認していく
子育て支援策を評価するとき、制度の数や予算額だけを見ても十分ではありません。
本当に見るべきなのは、
必要としている人に届き、実際に使われているか
というところです。
そして子どもが主体となる事業では、
参加したい子どもが、実際に参加できているか
まで確認する必要があります。
制度をつくること。
周知すること。
そして、実際の利用につなげること。
この3つがそろって初めて、支援は市民に届きます。
今後も、制度の利用実績や現場での運用を確認しながら、「使いたいのに使えない」「参加したいのに参加できない」という取りこぼしをできるだけなくすことを大切にしていきたいと考えています。
議会活動日:令和8年3月5日・6日
令和8年第1回ふじみ野市議会定例会・予算審査
ふじみ野市議会議員
かねはま こうけん(金濵高顕)






