ふじみ野市の「お出かけサポートタクシー」は、移動に支援を必要とする方の日常生活を支える大切な制度です。
一方で、どれだけ便利な制度であっても、実際に運行する事業者がいなければ続けることはできません。
令和8年度予算の審査では、お出かけサポートタクシーを運行する協力事業者への新たな補助が計上されました。
そこで私は、単に「補助が新しくできた」ということだけではなく、
この制度をこれからも安定して続けていけるのか
という視点から、市の考えを確認しました。
お出かけサポートタクシーは平成28年から運行
お出かけサポートタクシーは平成28年4月に始まりました。
これまでにも、
- 共通乗降場の廃止
- 運行範囲の拡大
- 電子申請の導入
- 補助上限額の引上げ
- 運行台数の増加
など、利用しやすくするための見直しが行われてきました。
令和8年度についても、運行台数はこれまでと同じ14台を予定しています。
長い時間をかけて改善され、市民の移動を支える制度として定着してきたことが分かります。
利用者からは見えにくい「事業者側の負担」
一方で、市の答弁からは、この制度を維持するために協力事業者が通常のタクシー営業とは別の負担を担っていることも分かりました。
例えば、
- 専用の配車に対応するオペレーター業務
- 運行管理システムへの対応
- 市の補助金に関する請求事務
などです。
こうした人的・経済的な負担について、これまではタクシー事業者の地域貢献という側面に支えられてきた部分がありました。
しかし、物価や人件費が上昇する中で、事業者側の負担も大きくなっています。
利用する側から見れば便利な制度でも、その裏側で無理が積み重なれば、制度そのものを維持できなくなってしまいます。
令和8年度から「1運行100円」の事業者補助
そこで、ふじみ野市は令和8年度から新たに協力事業者への支援を始めます。
従来は、利用者の乗車料金に対する補助として、1回当たり最大800円を基準に予算を組んでいました。
これに加え、令和8年度からは1運行当たり100円を、事業者の負担軽減のために補助することになりました。
さらに、制度の実施に必要となるパソコンなどの機器についても、30万円の予算が計上されています。
ここで大切なのは、この100円が利用者への新しい割引ではないということです。
市民が利用できる制度そのものを維持するために、運行を担う事業者を支えるための補助です。
協力事業者が「1社」になっていることへの懸念
私が予算審査で特に確認したかったのは、この点です。
お出かけサポートタクシーの協力事業者は、質疑の中で私が示したように、以前は3社、その後2社となり、現在は1社となっています。
14台で運行するとしても、それを支えている事業者が1社だけであれば、その事業者に経営上の問題や人員確保の問題が生じた場合、制度全体への影響が大きくなります。
そこで私は、
今回新たに補助を行うことで、本当に持続可能な運行ができるのか
を確認しました。
市は事業者と経費や運営状況を協議
市からは、現在協力している事業者と、
- 事業者の運営状況
- お出かけサポートタクシーにかかる経費
- 事業を継続するために必要な補助額
について協議したとの説明がありました。
その上で、事業者からは、今回の補助内容であれば事業継続に向けて助かるという意向が示されているとのことです。
市は今後も事業者の運営状況を確認し、事業者側の負担にも配慮しながら制度を継続していく考えを示しました。
令和8年度の補助は、制度を安定して続けるための一つの対応と見ることができます。
それでも「1社依存」という課題は残る
一方で、これで将来にわたって制度が安定したとまでは言えません。
私も質疑の中で、
1社が2社、3社と増えていかなければ、継続的な安定を確保することは難しいのではないか
という考えを伝えました。
これは現在の協力事業者に問題があるという意味ではありません。
むしろ、現在の1社に制度を支えていただいているからこそ、その事業者に過度な負担が集中しない仕組みを考える必要があります。
公共性の高いサービスほど、
「今、運行できているか」だけではなく、「数年後も同じように利用できるか」
という視点が大切です。
システムの見直しも今後の課題に
制度を持続可能にする方法は、事業者への補助だけではありません。
市も、現在の仕組みには複数の課題があることを認識しており、配車システムのアップデートなどについて今後事業者へ打診していく考えを示しました。
他自治体ではアプリやインターネットによる予約を導入している例もあります。
一方で、お出かけサポートタクシーを利用する高齢者の中には、スマートフォンやインターネットによる予約が難しい方もいます。
そのため、単純にデジタル化すればよいというものでもありません。
市からは、時代の動向を見ながら、
事業者にとっても利用者にとっても、よりよい事業となる方法を検討していく
という考えが示されました。
今回の予算で確認できたこと
令和8年度予算では、お出かけサポートタクシーについて、
- これまでの利用者への乗車料金補助を継続
- 協力事業者へ新たに1運行100円を補助
- 事業に必要なパソコンなどの機器費用を支援
- 14台での運行を継続
することになりました。
これは、これまで事業者の地域貢献に支えられてきた部分について、市も一定の費用を負担し、制度を維持しようとする方向への変化です。
私は今回の予算審査を通じて、現在の協力事業者とも協議し、事業継続を前提に補助額を設定していることを確認しました。
その点については、必要な対応が進められていると考えています。
大切なのは「制度があること」ではなく「使い続けられること」
移動支援の制度は、一度つくれば終わりではありません。
高齢化が進む中で、買い物や通院など日常生活の移動をどのように支えるかは、これからさらに重要になります。
そのときに必要なのは、
「お出かけサポートタクシーという制度があります」
ということだけではなく、
必要な人が、必要なときに、これからも安心して利用できることです。
そのためには、利用者の利便性だけでなく、運行を担う事業者にとって無理のない制度でなければなりません。
今回の1運行100円などの補助が、実際に事業者の負担軽減と安定運行につながっているのか。
協力事業者を増やすことができるのか。
また、電話予約を必要とする方を置き去りにすることなく、システムをより効率的にできるのか。
こうした点は、今後も確認していく必要があります。
「今使える制度」を、「これからも使える制度」にする。
お出かけサポートタクシーについては、その視点で今後の運行状況と制度の改善を見ていきたいと考えています。
議会活動日:令和8年3月5日
令和8年第1回ふじみ野市議会定例会・予算審査
ふじみ野市議会議員
かねはま こうけん(金濵高顕)






