保育所への入所を申し込む際、希望する保育所だけでなく、家庭ごとの保育の必要性や優先順位など、様々な条件をもとに入所選考が行われます。
ふじみ野市では、この入所選考事務に「保育所入所選考AIマッチングシステム」を活用しています。
AIという言葉だけを見ると、「AIが子どもの入る保育所を決めているの?」と感じる方もいるかもしれません。
実際の入所選考では、市が定める基準に基づいて保育の必要性を点数化し、優先順位の高い方から希望する保育所への入所を決定します。市の案内でも、この選考方法が明示されています。
AIマッチングは、その複雑な入所選考事務を効率的に進めるために使われている仕組みです。
令和8年度予算の審査では、このAIマッチングの運用業務委託料について確認しました。
保育所入所選考でAIマッチングを活用
保育所の入所選考では、多くの申請者について、
・保育の必要性を示す点数
・希望する保育所
・各保育所の受入可能人数
・希望順位
などを照らし合わせていく必要があります。
ふじみ野市では、こうした入所選考にAIマッチングシステムを導入しています。
市の過去の事業評価でも、AIマッチングシステムの導入によって、それまでアナログ作業に要していた時間の効率化が図られたと評価されています。さらに、その後もAIマッチングを活用し、時間を効率化しながら適切な入所選考事務を行ったとされています。
職員が大量の申請書を一件ずつ組み合わせていく作業を効率化できれば、行政事務の負担軽減にもつながります。
私は、この仕組み自体については必要性の高いものだと考えています。
令和8年度の運用業務委託料が増額
今回の予算審査で確認したのは、その運用にかかる費用です。
令和8年度の「保育所入所選考AIマッチング運用業務委託料」は、
前年度 5万5,600円
令和8年度 6万5,250円
となっていました。
そこで私は、金額が増えた理由を質問しました。
最初の答弁では、「仕様が若干変更されたため単価が上がった」との説明でした。
もし機能が増えたり、サービス内容が変わったりしたのであれば、価格が上がることには理由があります。
そのため私は、
「単なる値上げではなく、内容が変化したことによる増額なのか」
と確認しました。
確認すると「仕様変更ではなく価格の上昇」
さらに、どのような仕様が変わったのかを質問したところ、答弁が訂正されました。
市からは、
「仕様は特に変わっていない」
との説明があり、業者から見積りを取ったところ価格が上昇していたため、その金額を予算計上したことが確認できました。
ここは今回の質疑で重要だった部分です。
価格が上がること自体が、直ちに問題というわけではありません。
人件費や物価の上昇などにより、行政が利用するサービスの価格が上がることはあります。
しかし、市民の税金で継続的に利用するシステムである以上、
「なぜ上がったのか」
を確認しておく必要があります。
便利なシステムほど、一度導入すると替えにくい
AIマッチングのような行政システムには、一つ注意すべき点があります。
一度導入して業務の中に組み込まれると、簡単にはやめにくくなることです。
職員が操作方法に慣れ、既存の保育システムとの連携も進めば、同じ事業者のサービスを継続する方が行政としても効率的です。
一方で、それによって特定の事業者への依存度が高くなれば、
「事業者から値上げを提示されたので、そのまま翌年度予算も増額する」
ということが繰り返されないかという視点も必要になります。
そこで私は、今回だけでなく、今後さらにどのような費用が発生する可能性があるのかを確認しました。
市は「しばらく新しい費用要素はない」と説明
市からは、今後も事業者側の価格が上がる可能性はあるものの、
AIマッチングの運用業務については、今後何年間かは新たな要素はない
との説明がありました。
つまり、新しい機能を追加するために次々と別の運用費が発生することは、現時点では想定していないということです。
これは一つ安心できる材料です。
ただし、同じサービスを継続する場合でも、その価格が適正なのかを見ることは別の問題です。
必要性を評価することと、価格を確認することは両立する
私は質疑の最後に、AIマッチングそのものについては必要性を十分理解しているとした上で、費用について意見を述べました。
市民の税金で運用する以上、
一社を継続して利用し、その事業者から価格上昇を提示されるたびに、そのまま予算を増やしていく形でよいのか。
同じような業務を提供できる事業者が他にもあるのであれば、必要に応じて相見積りを取るなど、価格の妥当性を確認する方法も考えるべきではないか。
そのような趣旨で、適正な運用を求めました。
「安い業者を選べばよい」という話ではない
一方で、行政システムは単純に一番安い事業者を選べばよいわけでもありません。
保育所の入所選考は、市民生活に直接関わる重要な事務です。
システムには、
安定して動くこと。
正確に処理できること。
既存システムとの連携ができること。
必要なサポートを受けられること。
といった要素も求められます。
したがって、価格だけでなく、機能や信頼性、サポート体制なども含めて判断する必要があります。
重要なのは、
「去年もこの会社だったから」
だけで継続するのではなく、価格を含めた契約内容が現在も妥当なのかを定期的に確認することだと考えています。
AIを使う目的は、AIを導入することではない
行政でもAIやデジタル技術の活用が広がっています。
しかし、AIを導入すること自体が目的ではありません。
今回の保育所入所選考であれば、
職員の作業時間を減らす。
複雑な入所選考を効率化する。
限られた職員で行政サービスを維持する。
こうした効果を得ることが目的です。
ふじみ野市の事業評価でも、AIマッチングによってアナログ作業に要していた時間の効率化が図られたことが確認されています。
効果があるのであれば、デジタル技術は積極的に活用してよいと思います。
その一方で、導入後も、
「どれだけ仕事が効率化されたのか」
「毎年支払う費用は適正なのか」
という二つをセットで確認することが大切です。
今回の予算審査で確認できたこと
令和8年度予算審査では、
・ふじみ野市が保育所入所選考にAIマッチングシステムを活用していること
・これまでアナログで行っていた作業の時間短縮につながっていること
・令和8年度の運用業務委託料が前年度の5万5,600円から6万5,250円へ増額されたこと
・当初説明された仕様変更による増額ではなく、仕様は変わらず、事業者の見積価格が上昇したこと
・今後数年間について、新たな運用費用の要素は現時点で想定されていないこと
・私は、必要性を評価した上で、同様の業務を行える事業者がある場合には相見積りなども含め、価格の適正性を確認するよう求めたこと
を確認しました。
便利な行政DXを、持続可能なものに
AIやデジタル技術によって、これまで多くの時間を必要としていた行政事務を効率化できることは、大きなメリットです。
保育所入所選考AIマッチングも、その一つです。
だからこそ、一度導入したら終わりではなく、
効果が続いているか。
費用は適正か。
特定の事業者への依存が強くなり過ぎていないか。
こうした点を継続して確認する必要があります。
必要なシステムには必要な費用を支払う。
その一方で、市民の税金から支出する以上、価格の妥当性も確認する。
この両方を行うことが、行政DXを長く安定して続けていくために必要だと考えています。
今後も、AIやデジタル技術については「導入したかどうか」だけではなく、その効果と費用の両面から確認していきます。
議会活動日:令和8年3月6日
令和8年第1回ふじみ野市議会定例会・予算審査
ふじみ野市議会議員
かねはま こうけん(金濵高顕)






