災害は、過ごしやすい季節に起きるとは限りません。
真夏に大規模な地震や停電が発生した場合、避難所では水や食料だけでなく、暑さから命を守る環境を確保できるかが重要になります。
令和8年3月18日のふじみ野市議会では、避難所環境を改善するための新たな防災資機材として、スポットエアコン20台などを導入する補正予算が審議されました。
私はその中で、スポットエアコンそのものだけではなく、
「停電したときに、本当に必要な電力を確保できるのか」
という点を確認しました。
ふじみ野市がスポットエアコン20台を導入
今回の補正予算では、国の「地域未来交付金(地域防災緊急整備型)」を活用し、避難所生活の環境改善に必要な資機材を整備することが示されました。
この交付金は、災害発生時の暑さ・寒さ対策、トイレ、食事、プライバシー確保など、避難所環境を改善する取組を支援するものです。
ふじみ野市では、この仕組みを利用して、
- スポットエアコン20台
- 防災倉庫
- ベビーケアルーム
などを整備します。
スポットエアコン20台のうち10台については、排熱を屋外へ逃がすための延長ダクトや窓用パネルも備える予定です。
避難所にエアコンがあっても、停電すれば使えない
現在、指定避難所となる多くの学校施設には空調設備があります。
しかし、大規模災害で停電すれば、通常のエアコンが使用できなくなることがあります。
そこで今回導入するスポットエアコンは、可動式とし、既存の空調設備が使えない避難所や指定緊急避難場所へ運んで使用することが想定されています。
市は、
停電時には地域防災拠点の防災倉庫に保管している非常用発電機などを使って、スポットエアコンを稼働させる
考えを示しました。
冷房だけでなく暖房にも対応できる機器を予定しており、夏だけではなく冬の災害にも活用できます。
停電時、スポットエアコンは何時間使えるのか
ここで重要になるのが、電源と燃料です。
非常用発電機を持っていても、燃料がなくなれば発電することはできません。
議会質疑では、市内小中学校の指定避難所について、施設の電気やトイレなどへの利用を想定した非常用発電機があり、おおむね72時間活用できる設備があるとの説明がありました。
また、防災倉庫には2kg、5kg、8kgのプロパンガスなどが備蓄されています。
市の試算では、3本のプロパンガスを使用した場合、
スポットエアコンを約30時間稼働できる
と見込んでいるとのことでした。
私が確認したのは「今の燃料のままで足りるのか」
私は、この答弁を受けて質問しました。
スポットエアコンを新たに20台増やすということは、それだけ新しい電力需要が生まれることになります。
そこで、
現在備蓄している燃料の量のままで運用するのか。新たな燃料を追加する必要はないのか。
という点を確認しました。
市からは、現時点では現在の燃料備蓄で避難所を運営していく考えが示されました。
一方で、非常用電源を使うのはスポットエアコンだけではありません。
避難所ではエアコン以外にも電気が必要
市の答弁では、避難所に備えているプロパンガスや非常用発電機は、スポットエアコン以外にも使用することが説明されました。
例えば、要配慮者用のラップポントイレを作動させるためにも電力が必要です。
また、煮炊きなどにも燃料を使用します。
つまり、
「スポットエアコンが30時間動く」という数字だけで、避難所全体の電力が30時間確保できるという意味ではありません。
実際の災害時には、限られた燃料と電力を、複数の設備で分けて使うことになります。
ベビーケアルームなどでも電力を使う可能性
今回、スポットエアコンとあわせて3台のベビーケアルームも導入されます。
ベビーケアルームには、授乳やおむつ交換を行える空間のほか、送風機やコンセントなどが設けられる予定です。
私は議会で、
乳児を抱える家庭の避難では、ミルクのためのお湯を用意するポットや電気ケトルなど、瞬間的に大きな電力を使う場面も想定される
ことを指摘しました。
そのため、
スポットエアコンだけではなく、避難所で実際に使う様々な設備を含めて、本当に現在の燃料備蓄で足りるのかを改めて検証してほしい
と求めました。
「設備を買うこと」と「災害時に使えること」は別
防災設備は、購入すればそれで終わりではありません。
例えばスポットエアコンなら、
- 必要な避難所へ運べるか
- 発電機につなぐことができるか
- 排熱を適切に屋外へ出せるか
- 発電機を操作できる人がいるか
- 十分な燃料が残っているか
- 他の設備と電力をどう配分するか
まで考えて、初めて災害時に役立ちます。
今回のスポットエアコンについて、市は令和8年11月に予定する総合防災訓練でも使用する考えを示しています。
実際に機器を動かし、
どの程度冷えるのか、どのくらい電力を消費するのか、燃料がどの程度持つのか
を確認することが重要です。
大きな体育館では「冷やす場所を選ぶ」視点も
学校体育館のような大きな空間を、スポットエアコンだけで建物全体を均一に冷やすことは現実的ではありません。
市も、大きな体育館では暑さや寒さに「むら」が生じることを想定し、状況を集約しながら、必要な場所へスポットエアコンを柔軟に配置する考えを示しています。
例えば、
高齢者、乳幼児、体調の悪い方など、暑さの影響を受けやすい人が過ごす場所を優先する。
こうした運用も、実際の避難所では重要になると考えます。
暑さ対策は、避難所の「命を守る設備」
近年の夏の暑さを考えると、避難所の冷房は単なる快適設備ではありません。
大規模災害が真夏に発生すれば、停電した体育館や公共施設に多くの人が集まる可能性があります。
特に、
- 高齢者
- 乳幼児
- 妊産婦
- 持病のある方
- 障がいのある方
などにとって、猛暑の避難所環境そのものが健康上の危険になり得ます。
今回、通常の空調が使用できない場合にも対応できるスポットエアコンを導入することは、避難所環境を改善する一歩だと考えています。
一方で、冷房設備と非常用電源はセットで考えなければなりません。
今回の議会質疑で確認できたこと
今回の審議では、
- ふじみ野市がスポットエアコン20台を導入する
- 冷房・暖房の両方に利用できる機器を予定している
- 通常の空調が使用できない避難所などへ可動式で配置する
- 停電時には既存の非常用発電機を活用する
- 市内小中学校の指定避難所には、おおむね72時間利用を想定した非常用発電設備がある
- 備蓄するプロパンガス3本で、スポットエアコンを約30時間稼働できると市は試算している
- ただし、燃料や電力はトイレや煮炊きなど他の用途にも使用する
- 市は現時点では現在の燃料備蓄で避難所を運営する考え
- 私からは、実際の電力需要を踏まえ、燃料が本当に足りるか改めて検証するよう求めた
ことを確認しました。
導入後の防災訓練まで確認していく
今回の設備導入で大切なのは、20台という「数」だけではありません。
実際の災害時に動く20台になっているか。
ここを確認する必要があります。
特に今後は、
非常用発電機とスポットエアコンを実際につないだ場合の燃料消費量、避難所ごとの電力需要、他の防災設備との同時使用、そして必要な燃料備蓄量
を、防災訓練などを通じて検証していく必要があります。
災害時に初めて機器を動かして、
「電力が足りない」
「燃料が足りない」
「使い方が分からない」
ということがあってはいけません。
設備を整えることから、実際に使える備えへ。
令和8年11月の総合防災訓練でどのように活用され、その結果が今後の避難所運営や燃料備蓄にどう反映されるのか、引き続き確認していきます。
議会活動日:令和8年3月18日
令和8年第1回ふじみ野市議会定例会・第40号議案質疑
ふじみ野市議会議員
かねはま こうけん(金濵高顕)






