出産前後は、家庭によって生活環境が大きく異なります。
初めての出産の家庭もあれば、まだ幼い上の子を育てながら出産を迎える家庭もあります。
仕事も、土日休みとは限りません。
だからこそ、子育て支援制度は、
「制度が用意されているか」だけではなく、「それぞれの家庭が実際に利用できるか」
という視点が大切だと考えています。
令和8年度予算の審査では、ふじみ野市の産後ケア事業とパパママセミナーについて、こうした「利用しやすさ」の面から確認しました。
ふじみ野市の産後ケアは令和8年度から3種類に拡充
ふじみ野市の産後ケア事業は、出産後のお母さんと赤ちゃんに対して、心身のケアや授乳指導、育児相談などを行うものです。
令和7年度までは宿泊型を中心に実施していましたが、令和8年度からは新たに、
- 宿泊型(ショートステイ)
- 日帰り型(デイサービス)
- 訪問型(アウトリーチ)
の3つの方法から利用できるようになりました。
予算審査では、宿泊型2施設に加え、日帰り型3施設、訪問型2施設で実施することが示されています。
現在、市の案内でもこの3種類が示されており、1回の出産につき通算7日まで、多胎児の場合は14日まで利用できます。
利用方法の選択肢が増えること自体は、大きな前進です。
一方で、私は宿泊型を利用したい家庭に残る課題について質問しました。
上の子がいると、宿泊型を利用しにくい場合がある
例えば、下の子を出産したばかりで、産後ケアの宿泊型を利用したいとします。
初めての出産であれば、母親と赤ちゃんで施設へ行くことができます。
しかし、年齢の近い上の子がいる家庭では事情が違います。
上の子を預ける場所がなければ、
「上の子も一緒に連れていかなければ宿泊できない」
という家庭もあります。
そこで私は、こうした家庭でも宿泊型を利用できるようになっているのか、令和8年度に変化があるのかを確認しました。
施設の受入条件によっては「下の子だけ」に
市からは、令和8年度も宿泊型については同様の契約となり、施設の状況や子どもの年齢によっては、1歳を超えた上の子を一緒に利用できず、下の子だけの利用になる可能性があるとの説明がありました。
これは施設側の設備や受入体制も関係するため、市だけで簡単に解決できる問題ではありません。
しかし、ここで考えなければならないのは、
その条件によって、最も支援を必要としている家庭が利用できなくならないか
ということです。
産後ケアを必要とする時ほど、家庭に余裕があるとは限らない
産後ケアを利用したいと考える時には、心身の疲労や育児への不安など、家庭が厳しい状況にあることも考えられます。
そのとき、
「上の子を預けることができれば利用できます」
という条件があっても、そもそも預ける相手がいなければ利用できません。
私は予算審査で、
上の子と一緒に利用できないため、宿泊型を利用したくても利用できない状況がある
ことを指摘し、今後対策を検討して、支援から取りこぼされる家庭をできるだけなくす必要があると申し上げました。
現時点で、具体的な改善策が決まったわけではありません。
したがって、これは今後も確認していく課題です。
日帰り型・訪問型の開始で選択肢は広がった
一方、令和8年度から日帰り型と訪問型が加わったことは、この問題を考える上でも重要です。
現在の実施施設は、
宿泊型
- 愛和病院
- イムス富士見総合病院
日帰り型
- イムス富士見総合病院
- 恵愛病院
- フローラ助産院
訪問型
- フローラ助産院
- 合同会社Wisdom
となっています。
また、宿泊・日帰り・訪問を組み合わせて利用することも可能です。
宿泊することが難しい家庭でも、日帰り型や、自宅へ助産師などが訪問する訪問型が選択肢になる場合があります。
制度を拡充するだけでなく、それぞれの家庭の事情に合った利用方法につなげられるかが、今後大切になります。
パパママセミナーは令和8年度も全て日曜日
もう一つ取り上げたのが、出産を控えた家庭を対象とするパパママセミナーです。
ふじみ野市では、沐浴や抱っこ、おむつ替え、妊娠中の食事、産後の心身、育児などについて学ぶ機会が設けられています。
令和8年度の開催予定について確認したところ、
Aコース6回、Bコース4回の計10回が、全て日曜日
との答弁でした。
市の現在の日程を確認しても、令和8年度の開催日は全て日曜日となっています。
「日曜日なら参加しやすい」とは限らない
日曜日開催には、もちろん理由があると思います。
一般的な平日勤務の家庭であれば、夫婦で参加しやすい曜日でもあります。
しかし、働き方は多様化しています。
小売業、飲食業、医療・介護、交通、サービス業など、日曜日が仕事という家庭も少なくありません。
パパママセミナーは、母親だけではなく、パートナーや家族が一緒に出産後の生活を考える機会でもあります。
だからこそ、
毎回同じ曜日に開催することで、参加したくても参加できない家庭が固定されてしまわないか
という点も考える必要があります。
曜日を分散する選択肢を
私は予算審査で、
「日曜日がお休みの家庭もあれば、日曜日には参加できない家庭もある」
ことを指摘しました。
その上で、10回全てを同じ曜日にするのではなく、一部を土曜日や平日などにすることで、
仕事や家庭の事情にかかわらず参加できる機会を広げられないか
という考えを示しました。
これについても、令和8年度から開催曜日を変更するという答弁があったわけではありません。
現在も全て日曜日開催です。
そのため、実際の申込状況や、曜日を理由に参加できない家庭がどの程度いるのかも含め、今後検討する余地があると考えています。
2つの制度に共通する「利用できる人だけの制度にしない」という視点
産後ケアとパパママセミナーは、内容の異なる制度です。
しかし、今回確認したかったことには共通点があります。
産後ケアでは、
上の子を預けられなければ宿泊型を利用しにくい。
パパママセミナーでは、
日曜日に仕事があると参加しにくい。
どちらも、制度そのものが存在しないわけではありません。
むしろ、ふじみ野市では産後ケアを日帰り型・訪問型へ拡充するなど、支援の充実が進んでいます。
だからこそ次の段階として、
「誰が利用できていないのか」
にも目を向ける必要があります。
今回の予算審査で確認できたこと
令和8年度予算審査では、
- 産後ケアは宿泊型2施設に加えて、日帰り型3施設・訪問型2施設へ拡充する
- 宿泊型・日帰り型・訪問型を組み合わせた利用もできる
- 一方、宿泊型では施設の条件などにより、1歳を超えた上の子を一緒に利用できない場合がある
- そのため、上の子を預けられない家庭では宿泊型を利用しにくいケースが残る
- パパママセミナーは令和8年度もAコース6回・Bコース4回
- 計10回が全て日曜日に開催される
- 日曜日に参加できない家庭もあるため、曜日を分散することも検討課題ではないかと提起した
ことを確認しました。
「制度がある」から「家庭に合わせて使える」へ
子育て家庭を取り巻く状況は、一つとして同じではありません。
きょうだいの年齢。
上の子を預けられる人がいるか。
夫婦の勤務曜日。
家族から支援を受けられるか。
制度を一律に設計すれば、どうしてもその条件に合わない家庭が出てきます。
全ての事情に完全に対応することは簡単ではありません。
それでも、
「どんな家庭が利用できていないのか」
を把握し、少しずつ利用方法の選択肢を増やしていくことはできます。
令和8年度、ふじみ野市の産後ケアは宿泊型だけでなく、日帰り型・訪問型へと大きく広がりました。
次は、制度の数だけではなく、実際の利用状況を確認する段階です。
産後ケアについては、上の子がいる家庭を含め、必要な方が支援につながれているか。
パパママセミナーについては、開催曜日によって参加できない家庭が生まれていないか。
今後も、**「利用したい人が、実際に利用できる子育て支援になっているか」**という視点から確認していきます。
議会活動日:令和8年3月6日
令和8年第1回ふじみ野市議会定例会・予算審査
ふじみ野市議会議員
かねはま こうけん(金濵高顕)






