議会報告

大井・苗間第二地区の都市計画変更|39年続いた課題と5つの変更案

大井・苗間第二地区の都市計画変更

令和8年3月のふじみ野市議会一般質問で、大井・苗間第二地区で検討されている都市計画変更について取り上げました。

大井・苗間地区は、昭和61年に土地区画整理事業として都市計画決定されました。東武東上線西側の大井・苗間第一地区では土地区画整理事業が行われましたが、東側の苗間地区では事業化に至らず、長期にわたり土地区画整理予定区域として残されてきました。

今回、市が検討しているのは、この長期未着手の状態を解消し、現在形成されている住宅地との調和を図りながら、防災性や生活利便性を高めていくための新たなまちづくりです。

議会では、都市計画の制度そのものだけでなく、現在この地域に住んでいる方に何が変わるのか、これからも安心して住み続けられる計画になっているのかという視点から確認しました。

大井・苗間第二地区で検討されている5つの都市計画変更

市は、新たなまちづくりを進めるため、地権者に次の5つの都市計画変更案を示しています。

  1. 大井・苗間第二地区を新たに準防火地域に指定する
  2. 第一種低層住居専用地域の容積率を80%から100%へ変更する
  3. 上沢勝瀬通り線沿いの用途地域を見直す
  4. 大井・苗間第二地区全体に地区計画を定める
  5. 土地区画整理予定区域と都市計画道路「勝瀬苗間通り2号線」の廃止を検討する

それぞれ、地域の暮らしや土地利用に関わる重要な変更です。

1.準防火地域を指定し「燃えないまちづくり」へ

一つ目は、大井・苗間第二地区を新たに準防火地域に指定する案です。

新築や建て替え、増築の際に、外壁や軒裏、窓やドアなどに一定の防火性能を求めることで、火災が発生した際に地域全体へ燃え広がりにくいまちを目指します。

既に建っている住宅について、指定された時点ですぐに改修しなければならないわけではありません。基本的には、今後、新築や建て替え、増築などを行う際に対応が必要になります。

市は令和8年1月に4回のまちづくり懇談会を開催し、延焼シミュレーションなども使いながら、防火性能を高めた場合の効果を地権者に説明しています。

一方で、防火性能のある建材や建具が必要になるため、建築費が増える場合があります。

防災性を高めることは重要ですが、そのために住民の負担だけが増えるような計画ではいけません。

今回の都市計画変更全体で、どのようなメリットと負担のバランスをつくるのかという視点が重要になります。

2.容積率を80%から100%へ|建蔽率50%は維持

二つ目は、第一種低層住居専用地域の容積率を現在の80%から100%へ変更する案です。

容積率が上がれば、同じ土地でも建築できる延床面積に余裕が生まれます。

家族構成の変化に合わせた建て替えなど、住宅計画の自由度を高める効果が期待できます。

一方、建蔽率については現在の50%を維持する方針です。

議会では、なぜ建蔽率を60%へ引き上げず、50%を維持するのかについても確認しました。

市からは、この地域がふじみ野駅東口から徒歩圏にある閑静な住宅地であり、現在の建蔽率50%による「ゆとりのある生活環境」を評価してこの地域に住んでいる方や、建物が建て詰まることを心配する声があることから、「建蔽率50%・容積率100%」という形を提案しているとの説明がありました。

利便性を高めながらも、現在形成されている住宅地の良さを残そうという考え方です。

3.上沢勝瀬通り線沿いの用途地域を第一種住居地域へ

三つ目は、都市計画道路「上沢勝瀬通り線」沿いの用途地域の見直しです。

上沢勝瀬通り線は令和5年3月に一部区間が開通しました。

市は、この道路沿いについて第一種住居地域などへの変更を検討し、住宅だけでなく店舗や事務所なども立地できる、利便性の高いエリアを目指しています。

地域との懇談では、

「ふじみ野駅東口側は住居系の地域が多く、利便性のある施設が少ない」

という声もあったとのことです。

市からは、用途地域を変更することで将来的に生活利便施設が立地する可能性や、ふじみ野駅東口全体の活性化につながることを期待する声もあるとの説明がありました。

ただし、単純に建物を大型化したり、開発を優先したりする考えではありません。

市は、この地域では既に住宅地が形成されていることから、現在の住宅地との「調和」を重視する考えを示しています。

4.大井・苗間第二地区全体に地区計画|高さ15メートル程度も検討

四つ目は、大井・苗間第二地区全体への地区計画の策定です。

用途地域だけを変更すると、建てられる建物の種類や規模が変わり、現在の住宅地の環境が大きく変化する可能性があります。

そこで地区計画によって、建築物の用途や高さなどについて、地域の実情に合わせた細かなルールを設けることが検討されています。

議会で、市がこの地域の将来像について「発展」と「住宅地との調和」のどちらを重視しているのか確認したところ、市からは住宅地との調和を目指していくという明確な考えが示されました。

そのための具体的な方法として、地区計画の中で建物の高さを15メートル程度に制限する案についても、地域との話し合いが進められています。

利便性を高めながら、現在の落ち着いた住宅環境を守るための仕組みです。

5.土地区画整理予定区域と「勝瀬苗間通り2号線」の廃止を検討

五つ目は、長期間残されてきた土地区画整理予定区域そのものを廃止することです。

あわせて、都市計画道路**「勝瀬苗間通り2号線」**についても廃止が検討されています。

この地域では、土地区画整理事業の妨げとならないよう、長年にわたって建築に一定の制限が設けられてきました。

土地区画整理予定区域が廃止されれば、こうした制限が整理され、これまでより自由度の高い建築計画が可能になります。

勝瀬苗間通り2号線の廃止で建築制限はどう変わるのか

勝瀬苗間通り2号線は、昭和61年に都市計画決定された道路です。

しかし長い年月の中で計画線上にも住宅などが建ち並び、土地区画整理事業を廃止した後に道路だけを整備する場合には、多額の事業費が必要になることなどが課題となっています。

そこで、市は土地区画整理事業の見直しとあわせて、勝瀬苗間通り2号線についても廃止を検討しています。

都市計画道路の予定地では、都市計画法に基づく建築制限を受ける場合があります。

そのため、道路計画が廃止されれば、計画線上の土地にとっては長年続いてきた建築上の制限がなくなるという大きな意味があります。

準防火地域の指定で建築費はどうなるのか

準防火地域の指定については、「安全になる」というメリットだけを見るのではなく、住宅を建て替える方の負担も考える必要があります。

準防火地域では、建物の外壁や軒裏、窓やドアなどに一定の防火性能が必要になることから、市も建築費が増加する場合があると認識しています。

一方、今回の都市計画変更では、容積率の緩和、長年続いてきた建築制限の整理、生活利便性向上の可能性なども同時に検討されています。

個別の負担だけではなく、地域全体としてどのような価値が生まれるのかを住民に分かりやすく示していくことが重要です。

都市計画変更で固定資産税はどうなるのか

もう一つ、地域に住む方にとって気になるのが固定資産税への影響です。

用途地域などが変更され、土地の利用価値が変われば、将来的に土地の評価額や固定資産税へ影響する可能性があります。

そこで議会では、都市計画変更後の固定資産税についても確認しました。

市の答弁では、仮に予定どおり令和9年度中に都市計画変更が行われた場合、3年に一度の評価替えに合わせ、令和12年度課税からその影響が反映されるとのことです。

ただし、「用途地域が変われば税額が一律に上がる」というものではありません。

地価公示や不動産鑑定士による鑑定評価などをもとに、地域の実情を踏まえて土地の評価額が決定されます。

また、評価額が大幅に上昇した場合には、税負担が急激に増えないよう、負担調整措置によって税額を段階的に引き上げる仕組みがあります。

都市計画変更によって得られるメリットとあわせて、こうした将来の負担についても丁寧に情報を示していく必要があります。

今回の議論で確認できたこと

今回の一般質問で特に確認したかったのは、制度の細かな内容だけではありません。

市が大井・苗間第二地区を、将来どのような地域にしていきたいのかという点です。

今回の答弁からは、

  • 現在のゆとりある住宅環境を守る
  • 住宅地との調和を重視する
  • 準防火地域の指定によって防災性を高める
  • 容積率の見直しによって住宅計画の自由度を高める
  • 上沢勝瀬通り線沿いでは生活利便性向上の可能性を広げる
  • 長年続いてきた建築上の制限を整理する

という方向性を確認することができました。

市からは、約39年間にわたり土地区画整理予定区域として様々な検討が続いてきたこの地域について、都市計画の変更や地区計画によってよりよい住環境をつくり、住民が安心して定住できる地域にしていきたいという考えも示されています。

まだ「決定」ではありません

重要なのは、今回取り上げた内容が、令和8年3月時点ではあくまで検討されている都市計画変更案だということです。

今後、地域との調整や都市計画変更に必要な手続が進められていきます。

特に今後確認していく必要があるのは、

  • 準防火地域指定による防災性と建築負担のバランス
  • 容積率80%から100%への変更
  • 上沢勝瀬通り線沿いの具体的な用途地域
  • 地区計画の具体的なルール
  • 勝瀬苗間通り2号線の廃止
  • 土地区画整理予定区域の廃止
  • 固定資産税などへの将来的な影響

です。

都市計画は、一度決定されれば、その地域の姿を長い期間にわたって左右します。

だからこそ、「都市計画を変更すること」そのものを目的にするのではなく、現在住んでいる方が安心して暮らし続けられ、次の世代にも選ばれる地域になるかという視点が大切です。

約39年間続いてきた大井・苗間第二地区の課題は、新しいまちづくりへ進む大きな節目を迎えています。

今後も都市計画変更の手続と具体的な内容を確認していきます。

議会活動日:令和8年3月10日
令和8年第1回ふじみ野市議会定例会・一般質問

ふじみ野市議会議員
かねはま こうけん(金濵高顕)

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